switch9’s blog

地球のみなさん、こんにちは

『キングスマン:ゴールデン・サークル』を観てきた

 ※このエントリーは映画のネタバレを含みます。

  この映画の関係者は『ローガン・ラッキー』をどんな気持ちで観たんだろうか。まさか、チャニング・テイタムと"Take Me Home, Country Roads"の組み合わせが被るなんて誰も思いもしなかったんだろう。でも、被っちゃったなあ。もう、これは運が悪いとしか言いようがない。そして、組み合わせと描き方の巧みさにおいては、スティーブン・ソダーバーグの方が一枚上手だった。

 チャニング・テイタムの出番少な。え、冷凍睡眠させるん? これチャニング・テイタムをキャスティングした意味ある? ファンとしてはがっかりした。もうちょっと登場させようぜ。

 マシュー・ヴォーン監督は、やっぱり007の監督に選んでもらえなかったことを、未だに根に持ってるんだと思う。だから、X-メンでも前作のキングスマンでも、そして今作でも007的なエンターテイメント性を「おれが撮ったらこんだけの事できますけど?」と言わんばかりに詰め込んでた。

 でも、エンターテイメント映画かというと、グロい描写がけっこう本格的グロいので、どうなんだろう。

 アクションシーンはとびっきりすごくて、「どうやって撮ってるんだオブザイヤー2018」確定。

 ストーリーに細切れ感があるのが残念だった。もうすこし全体的な繋がりが欲しかった。徐々に登りつめていくハラハラドキドキがなくて、はいアクションします、しました、次のアクションします、しました、の繰り返しになってしまってたように思う。あるいはアクションシーンに必然性が感じられにくかった。どうせ、キングスマン&ステイツマン合同チームが勝つんだろうなあと想像できてしまうので、あ、やっぱりっていう。

 ウィスキーが裏切ることの伏線というか背景や心理描写がほとんど描かれてないので、あっそうなんや。っていう感じの後づけの独白で、なんか腑に落ちなかったし、裏切るんならもっと手前でやれることあっただろうに。

 誰が何のために何をして、誰と誰が何を巡って争っているのかという部分の描写が分かりづらい。そのせいでそれぞれの登場人物の厚みがなくて、それが全体的な平坦さにつながってしまってるんだと思う。

 そもそもの話をすると、あの売人おばさんはキングスマンを強襲しなくても、勝手に自分のペースで粛々と計画を進めとけば上手くいったんじゃないのだろうか。

 ヤク中全員を見殺しにすることの非人道性についても観客を納得させるだけの説得力をもって説明していないので、人によってはあの大統領やウィスキーと同じ考えを正しいと思ってしまう人も少なくないと思う。

 前作が傑作だったので、それを上回るのはやっぱり難しかったんだと思う。各要素はよく作り込まれてさすがマシュー・ヴォーンなのだけど、映画全体を通してのメッセージとかいちばんの見せ場とかキャラの個性とかがなかなか伝わってこなかった。こういう映画はフレッシュさが必要なんだろうなあ。

 普通に観れば面白い映画です。スクリーンで見て損はないです。あんまり深くこだわって観てしまうと、辛口の評価してしまいたくなるけど。