switch9’s blog

地球のみなさん、こんにちは

1月中に15冊読む その3 『写真のボーダーランド X線・心霊写真・念写』

 少女たちが思い描いた妖精の姿は、彼女たちの心の中で作られたものではなく、彼女たちが目にした絵本やイラストなどを通じて築き上げられたものである。だが、たとえ独自に創造されたものではなかったとしても、それが彼女たち自身の空想の産物だったことは間違いない。そして、カメラを手にした彼女たちは、薄明のなかから妖精たちを引きずり出そうとしたのではなく、単に「自分たちの夢を写す鏡」として写真を利用したにすぎない。少女たちは、妖精の実存を証明しようとしたのではなく、写真というメディアを通じて、現実世界のただなかに空想世界のイメージを召喚しようとしたのである。

 妖精写真を偽造した少女をめぐる話における、このまとめは、SNSインスタ映えに夢中になる今の少女の心理にもまるっと当てはまる。

写真のボーダーランド: X線・心霊写真・念写 (写真叢書)

写真のボーダーランド: X線・心霊写真・念写 (写真叢書)