何かをきっかけに転がり始める、という話 (全力少年 / スキマスイッチ)
やる気出ないときってあるじゃないですか。理由は色々あると思うんですけど、やらなきゃいけないことあるのになかなか重い腰が上がらないっていうか、億劫になってるっていうか。そういうときって、よく言うのが、とりあえず始めたらやる気があとからついてくるみたいな話。あれって、たしかにそう思うんですよね。とりあえずパソコンに向かうとか、体動かしてみるとか、まあ、そのとりあえずの動機づけが難しいんですけど、とりあえず転がり始めたらだんだん勢いついて、坂道転げ落ちていくみたいな。だから重いほど転がるまでは時間と労力かかるけど、いったん転がり始めたらもうすんごい勢いで転がっていっちゃうっていうの、普段でもよく実感するんですね。
なんかそういう、きっかけがあるとどんどんつながって進んでいく感じって、他のことにもあるような気がするですよね。こないだ思ったのは、私、旅行いくの結構好きなんですけど、旅行行くこととおんなじぐらい、旅行の計画立てるのが好きで、普段からあれこれ、ここ行きたいなーとか思ってるんですね。でも、「わざわざ行くのも…」みたいな感じもあって、そういうのが散乱してるときに、いっこなんか大っきなきっかけがあって、それってなんでもいいんですけど、乗りたい乗り物があるとか、観たい景色があるとか、なんでもよくて、それを発見した途端に、なーんとなくモヤッとしてたほかのやりたいことも全部つながって旅行のプランが完成して。で、全体の姿が見えてくると一気に旅行行きたい欲が全開になってきちゃうんですね。
あと、おんなじようなのが、ごはん食べるときもそうだなって思うんですけど、なんか、おなかすいてるんだけど、何食べたいかビミョーな時って時々ありますよね。ラーメンでもないし、ピザでもないし、みたいな、でも、なんか食べないとおなかすいてるなあっていう。で、冷蔵庫見たら、たまたま納豆あって、まあ、納豆ご飯ですませとくかって食べたらスイッチ入って、昨日の残りのカレー食べてプリン食べて、まだなんか食べたいっていう。さっきまでの食欲のなさなんだったんだよっていう変わりようで。
これって、やる気スイッチっていうんですか、CMでも言ってますけど。多分、そういうことだと思うんですけど、ほんと、その場所知りたいです。どこにあるだっていう。押したいときに限って見つからないんですね。ほんと。で、不意に押しちゃって、夜中に肉まん食べちゃうっていう。
無理すると時々人は死ぬ、という話 (勇気のしるし ~リゲインのテーマ~ / 牛若丸三郎太)
本日の1曲は、牛若丸三郎太で勇気のしるしです。
今日はですね、ちょっと体調が良くなくて。あんまり難しいこと考えられないんで、こういう時はですね、体にムチ打って無理しても、良いことなんてあんまりないんであっさりしとこうと、ちょっとだけ弱気です。
体育会系っていうんですか、ガッツとスタミナだけで行きてるようなタイプの人。ああいう方がよく言うですね、「限界までやりゃ、出来ない事とかないし、出来ちゃえば次からはどんな苦労がやってきても、その時のしんどさに比べればどうってことはないと感じれるようなるから、なんでもできるようになる」っていう謎の理論なですけど、これね、理屈として正しいと思うんですよね。フルマラソン走るのしんどいけど、100キロマラソン経験したら、フルマラソンのしんどさは小さく感じるみたいな話で。マラソン走ったことないからあってるかどうかわかんないたとえですけど。
この理屈ね、たしかにそうだ、って思わないこともない。でも、このやり方、時々死ぬんですよね、人が。で、一度死ぬとその人は生き返らないっていう、そこがどうしようもない難点なんですけど、体育会系の人は生き残った側の人なんで、死ぬことへの想像力を持ってないんですよね。そんなことで死ぬとか思ってない。困ったもんですよ。ほんと。
祭りの由来を誰も知らない、という話 (Like A Rolling Stone / Bob Dylan)
本日の1曲は、Bob DylanのLike A Rolling Stoneです。
日本各地いろんな祭りとか風習がありますけど、なんでやるようになったかとか、どういう意味があるのか、わかんないままやってる事って意外と多いように思うんですね。ずっと続いてるし、去年もこのやり方だったし、あのじいさんがあってるっていうんだからあってるんだろうっていう感じで。フンドシ姿で水掛け祭りとか、顔に墨塗ったりとか、いや、あってんだろうけど、なんで墨塗られてんのかよくわかんないみたいな。とりあえず続けとくかっていうノリみたいな。
なんでそんな話するかというとですね、こないだノーベル文学賞が発表になって、今年はまさかのボブ・ディランということで。選考委員はどんな球投げてくるんだろうってミット構えてたら、横から山手線突っ込んできたみたいな、いやほんとまさかの人選でね。発表になったあとも、全然連絡つかねえわ、先約あって授賞式行けねえとか言うわでニュースになってますけど、日本国内だと「今年も村上春樹受賞逃す!」のほうが大きく報道されちゃってて。どっかのバーみたいなとこに集まってるファンの人たち、ハルキストっていうんですか、とかもインタビューされて「残念ですけどきっと来年は」とか言っちゃってて。
多分あの人たち、来年も集まると思うんですね。で、やっぱり受賞できなくて、再来年も集まって、その次の年も集まって、ずーっとやってると思うんですよ。で、村上春樹が亡くなっても、「せっかくだし今年は集まろうよ」とか言って秋になったらバーに集合して、で、「一年に一度の事なんだから来年もどう?」とか誰か言い出したりしたら、多分その先もずーーっと続くと思うんですね。
で、最初に集まってた人達も死んじゃって、いい加減終わるタイミングなのに、周辺住民とかが「せっかく続いた集まりなので私達で受け継いでいこうと思います」とかわけの分かんないこと言い出して、多分、ノーベル賞すら廃止になったあとも、一年に一回「ノーベルさんノーベルさん」とか輪になって言うようになって、もうそこまで行ったら風習ですよね。たぶん今から200年後ぐらい。で、「ノーベルさんとはどういう意味なんですか?」とか他所の人に聞かれても、もう誰も全然由来がわかってない。
たまにやらない年とかにかぎって、災害とか起こって、「ムラカミ様のたたりじゃ、ノーベル祭りをせんかったせいじゃ」とか爺がさわぎだすっていう。
そんなのまっぴらごめんだって言う人はですね、ぜひとも「来年こそは村上春樹、ノーベル賞取れると思う」って猛プッシュして、受賞できるよう祈ってあげて下さい。ムラカミ様のたたりは恐ろしいですぜ。
Like a Rolling Stone - Bob Dylan
ファンの愛は時に深すぎる、という話 (パラダイス銀河 / 光GENJI)
さて。今年も流行語大賞の候補が発表されまして。ここ最近は流行語っていうか、今年話題になった時事ネタをピックアップしてるような気もするんですよね。もはや語じゃない無いよなあっていう。
もちろん、SMAP解散もノミネートされてまして、でも、あれもニュースであって、流行ったわけじゃないだけど、うーん、まあそれはおいといて。なんかここ最近になって解散しないんじゃないのとかの噂があったりとか、どうなんですかね、よくわかんないですね。まあ、さすがに今更それはないと思うんですけど。
で、解散の置き土産なのか、25周年記念なのか、ファン投票で選曲したベストアルバム出ますよね。あれ、ファン投票にしたせいで、「せいで」とか言うと、悪口かよってなっちゃいますけど、結構、普通の一般の人は知らないような曲とかが上位に来てて。チョモランマの唄でしたっけ。他の曲もあんまり知らないようなのがあって、ファンに選ばせるとああいうことになるんですよね。ファンのためのCDだからあれでいいんですけど。
ずっと前のことですけど、たしか、光GENJIの時にもファン投票でベストアルバムの収録曲、収録曲って言いづらいですね、早口言葉になりそう、しゅうろくきょく、を決めたら、今回以上にすんごいマニアックな結果になっちゃって。シングル曲は全然選ばれないわ、メンバーの何人かだけで歌ってる曲とかが選ばれたりとか、それはどうなんだっていう。それだったらもうベスト盤じゃなくて全集でいいんじゃないのかと思うんですけど、その辺、ファンの心理は今も昔も同じだなあって思いますね。
他人よりも自分の愛のほうが深いことをなんとか伝えたくて、ついついマニアックな曲を選んじゃうっていう。ガラスの十代も、パラダイス銀河も選ばれないベストアルバムってなんだよ、ってなるんですけど、それがファンの愛の結晶なんでしょう。ちょっと歪んでますが、ある意味でピュアな愛の形。
峠の食堂はだいたい潰れてる、という話 (Don't Stop Me Now / Queen)
本日の1曲は、QueenのDon't Stop Me Nowです。
クルマで移動してるとですね、ちょっと田舎のほうの峠道なんか行くと、峠の途中辺り、途中っていうよりも入り口ぐらいかな、登りはじめのあたり。そのあたりによく潰れた食堂あるの見かけませんか。よくあるんですよ。食堂とか喫茶店とかラーメン屋とか。店はあってもだいたい潰れてるの。あれ、なんであんなとこに店出しちゃったんだろうって毎回見かける度に不思議に思うんですよね。
田舎のあんな立地でうまくいくわけないんですよ、常識的に考えて。誰だってそう思うような場所なのになぜか店出しちゃう。で、ほぼみんな潰れて店舗が廃墟になってる。
だって、大人2,3人ぐらいの生活賄っていけるぐらい儲けようと思ったら、相当な数のお客さんこないとダメですからね。1日5組限定の高級旅館経営してんじゃないんだよ。日替わり定食500円の大衆食堂なんですから。人、来ないとどうしようもないのに峠の中腹っていう。昔ってか、かなり大昔は成り立ってたのかなあ。高速道路ないような時代は。今は無理でしょうに。いやあのね、わたし、田舎をバカにしてるんじゃないですよ、田舎でも駅前とかじゃなくてなんでよりによって、あんなとこにって、ほんと思うんですね。
多分なんですけど、「自分だけはうまくいく」みたいな全っ然、なーんの根拠のない自信で店出しちゃうんでしょうね、そういう人いるんですよね。ラーメン屋やるにしても、そんなに何かしらのこだわりがあるわけでもなくて。修行とかしてなくて、自己流で店出しちゃう感じで。醤油ラーメンだけだったのが売れなくて味噌もやって、塩もやって。ポリシーはないのかよ。みたいな。でも自信だけはなぜかあるっていう。
なーんでそれを、周りの人、止めなかったんだろうなあって。誰かがガツンと言って説得できなかったのかなあって。なんかもうああいう潰れた飲食店見ると、その人と周りの人の人生を想像しちゃて、ツラくなってきますね。ツラさ3割、苦笑い7割ぐらいの配分で。潰れた店のそれぞれに違う人生があって、店出した理由はあるはずなんですよね。それを深く掘り下げていくみたいな、そういうドキュメンタリーあったら。いやー、たぶん誰も見ないだろうなあ。わかんないけど。
Queen - Don't Stop Me Now (Official Video)
「いい意味で」、という話 (Buttermilk Biscuits (Keep On Square Dancin') / Sir Mix-A-Lot)
本日の1曲は、Sir Mix-A-LotのButtermilk Biscuits (Keep On Square Dancin')です。
普段の会話の中でですね、便利な言葉がひとつありまして、それは何かというと、「いい意味で」って最初に言っとくと、その後何言っても悪口にならないっていうか、相手は怒れなくなるっていうことを発見したんですね。
「いい意味で」やばい。「いい意味で」話がつまらない。「いい意味で」面倒くさいやつだな。「いい意味で」音痴だね。「いい意味で」服がダサい。とか何言っても大丈夫なんじゃないかなっていうことに気づいて。
言われた方としては「おお、いい意味ならまあいいか」って納得してしまう妙な力があるんですね、「いい意味で」っていう言葉は。ふと冷静になってみたら全然そんなこと無いんですけど。ダサいぐらいならまだ、まだなんとかうやむやな空気のままなりそうですけど、「いい意味で」体臭がきつい。とかまでいくと流石に相手も怒るかなって思いますけど、怒ったとしても、「いい意味で」だよって念押しされたら、やっぱり「おお、いい意味ならまあいいか」って、なるような気がしますね。便利な言葉を見つけちゃったなあって。積極的に使っていきたいと思います。皆さんが使ってぶん殴られても責任取れませんけども。
で、ですね、「いい意味で」が似合う曲って何があったっけと思って、いろんな形容詞当てはめて見るんですけど、これが結構難しいんですね。言ってもミュージシャンの皆さんプロなんで。「いい意味で」音痴な人いないんですよね。可愛らしさで売ってるアイドルぐらいかなあって。でもそこはなんていうか「いい意味で」感が薄いっていうか、「普通に」音痴じゃ「いい意味で」さが出なくて、それじゃダメなんですよ。考えれば考えるほどですね、「いい意味で」と「普通に」の境界線を見極めるのが難しくて、これはこれで別の問題だなあって。
あれこれ悩んでて、ふと思い出したのが、今日の1曲のSir Mix-a-Lotっていうラッパーですね。今日の曲が収録されてる、この人のアルバムが、どの曲も「いい意味で」音に厚みがない。けなしてるわけじゃないですよ、あくまでに「いい意味で」ですからね。
実際聴けばわかりますけど「いい意味で」音がペラペラ。やっぱりこの時代のヒップホップたるものですね、このぐらいのスカスカした音じゃないと駄目なんですよ。右ストレートみたいなバスドラムとか腹の底に響くようなベースラインも、もちろんヒップホップなんですけど、「いい意味で」音が安っぽいヒップホップも時代の生き証人ですから。そして「いい意味で」ベタな展開と「いい意味で」無法地帯なネタ選び。今の人にはもう作れないヒップホップです。
スーパームーンとスーパースター、という話 (Moon River / Audrey Hepburn)
本日の1曲は、Audrey HepburnのMoon Riverです。
今日は満月で、しかもただの満月じゃない、スーパームーンですよ、スーパームーン。名前からしてなんかすごそう。スーパームーンですからね。
普段より3割増しで大きく明るく見えるらしいんですが、残念、外、雨なんですよね。なんで、残念ながらスーパームーンは見れなさそうなんですけども、せっかくならやっぱりスーパーとか言われたら見たかったですけど、だって、スーパームーンの次のチャンスは18年後でしたっけ。そんな先なのって。スーパーな基準がいまいちわかってないんで、あってるのかどうか甚だ心配ですけども。あ、でも、また来年になったら今夜はスーパームーンとか言ってるかもしんないですね。
なんでもいいから名前つけて世間に広めちゃうっていうのもどうかとは思うんですよね。スーパームーンだけじゃなくて、ゲリラ豪雨とか。あれだって夕立じゃんって。ま、いいか。いいですね。
で、まあ、スーパームーンですけど、ムーンといえば、ムーン繋がりといえば、なんだろうなあと思って、迷ったんですけど、やっぱりこの曲なんですよね。「ティファニーで朝食を」で使われた曲ですね。主演のオードリー・ヘップバーンがですね、劇中でこの曲を歌うシーンがあるんですけど、いい声してるんですよ。素敵だなあって、多分、世界中の人誰が聴いても聞き惚れちゃう曲だと思うんですよね。宇宙人だって心奪われちゃうじゃないかって気しますよね。なんかもう、ヘップバーンって、やっぱすごいなあってしみじみしちゃいますよね。スーパースターですね。
今日は残念ながらスーパームーン見れませんけど、ぼーっとお月さま眺めながらこの曲聴いて、心穏やかな気持ちになれたら、こんなシアワセなことはないですよ。いやほんと説明できない魅力があるんですよ、この曲は。スパームーンの夜にスーパームーン眺めながら、あ、今日は見れないけど、雲の向こうに輝くスーパームーンに思いを馳せつつ聴くスーパースターの歌声。良いじゃないですか。